イタリア国保で受ける「がん検診」

Q. イタリアの国保で受けられる 「がん検診」には、どんなものがありますか?

A. イタリアの国民保健医療サービスでは、『子宮頸がん』『乳がん』 『大腸がん』の予防検診が推奨されています。


がん検診(スクリーニング検査)の目的:

まだ症状が現れていない段階で簡単な検査を行うことによって、集団の中から

  • 「病気にかかっている可能性のある人を早期に発見」し、
  • 「治療を早期に開始」することができ、その後の市民の
  • 「生活の質を保つ」可能性が高くなり、何よりも
  • 「命そのものを救う」ことが大きな目的です。 

ただ、更に行うべき精密検査が必要な人を特定する『ふるい分けテスト』であり、

  • 「病気自体を診断する訳ではない」
  • 「それ自体でがんの発症を防ぐものではない」ため、
  • 「定期的に検査を繰り返す必要」があります。

各自治体で推進されている「がん検診」

  • 乳がん
  • 大腸がん
  • 子宮頸がん
(地域により対象年齢・検査法の内容に違いがあります)

種類 

スクリーニング検査    

対象年齢

 受診間隔

乳がん検診

マンモグラフィ検査

50 - 74

2年に1回

マンモグラフィ検査

45 - 49

年1回

大腸がん検診

便潜血検査

50 - 74

2年に1回

子宮頸がん検診

パップテスト

25 - 33

3年に1回

HPV-DNA検査

34 – 64

5年に1回

(ロンバルディア州 がん検診例)


乳がん検診

  • 乳がんは、現在イタリアでは、女性のかかるがんの3分の1近くを占め、最も多いがんの一種です。その一方で、発症率はここ数年横ばい状態、死亡率は1990年代末から低下しており、これは、検診などによる早期診断と治療の向上に起因しています。
  • 乳がんのスクリーニング検査は、「マンモグラフィ検査」によって行われ、50才から74才の女性には2年に1回、45才から49才の女性には年1回の実施が推奨されています。

子宮頸がん検診

  • 現在子宮頸がんは、50才未満の女性にみられるがんの内で5番目に多く、がん全体の1.3%を占めています。
  • この腫瘍は、性行為で感染するヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染によって引き起こされ、特に若い人に多く見られます。ほとんどの感染は自然治癒しますが、感染が長期間続くと、子宮頸部の組織に病変ができ、がんに発展することがあります。
  • 子宮頸がんのスクリーニング検査では、「パップテスト」と「HPV-DNA検査(パピローマウイルスDNA検査)」が行われ、25才から33才の女性は3年毎に「パップテスト」、34才から64才の女性は5年毎に「HPV-DNA検査」を受けるよう推奨されています。

大腸がん検診

  • 大腸直腸がんは、腸の最後の部分が侵される腫瘍です。
  • イタリアでは、人口に影響を与える腫瘍疾患の中で、頻度(13%)および死亡率(11%)の点で第2位にランクされています。
  • 生存率は上昇し、発生率、すなわち年間の新規診断数は、2007年をピークに、前がん病変(腺腫)を発見する検診プログラムの効果もあり、減少する傾向にあります。したがって、大腸直腸がん検診プログラムの目的は、このがんの発生率と死亡率を減少させ、生存率を高め、罹患者のQOLを向上させることにあります。
  • 大腸がん検診は、便中の潜血(肉眼では見えない)を検出することによって行われ、潜血がある場合は、通常、大腸内視鏡検査によってさらに詳しく調べる価値がある。
  • 50~74歳の女性および男性に、2年に1度、便潜血検査を実施します。

検査時期

国民健康保険へ登録が登録済みであれば、各検査毎、事前に健康保護局(ATS)から、時期、場所についての案内が届きます。