小児頭部打撲② ー手当て・注意点ー
手当て
安静にさせ、ゆすぶったりしない
出血する場合は直接圧迫止血で(滅菌ガーゼがない場合、アイロン等で高熱を加えたハンカチ・タオルや、紙オムツや生理用バッドなどでの代用も可➡その後、三角巾、ストッキングなどを利用した包帯で傷を保護)
小さく固いこぶは冷やす(大きなこぶ、ブヨブヨと腫れる場合は医療機関へ)
鼻・耳には詰め物をしない(「外傷性髄液漏」の早期発見、鑑別)
吐く時には、窒息させない体位で(仰向けを避け横向きへ)
体全体は保温
意識のない時は救急車を呼び(#118/112)、救急隊到着までの間、一次救命処置をします
注意点
- 遅発性出血の予防・観察:6~24時間、2~3日後に急変することもあるため、長湯の入浴や運動は控えながら、静かな生活を心掛けます。
- 頭部以外のケガにも注意:特に、本人が説明できない乳幼児には、頭部のみに気をとられず、他部位(頸椎、上・下肢、胸部・腹部…)も注意深く観察します。
- 髄液漏れの予防・観察:鼻を強くかんだり、鼻や耳の詰め物はしません。
- 予防対策:特に乳幼児では予防策で防げる事故が多いため、子供の発達段階 に合わせた環境調整が大切です。(ベッド柵、チャイルドシート、交通ルール…など)
- 赤ちゃん時代の「ハイハイ」の重要性:近年、子どもがバランスを崩した際、とっさに手を前に出し体を支えられず、直接、頭部や顔で受け大ケガをするケースが増加中。その要因に「赤ちゃん時代のハイハイ不足」が指摘されています。無理に早く歩かせず、腕の筋肉を鍛え、手と足の連動動作を遊びの中から育める時間を 積極的に作りましょう。
- 2回目の脳震盪(のうしんとう)予防(セカンドインパクト症候群 ※2):学童など、スポーツ中に起こる事故による脳震盪後、意識が戻っても、1~2時間は横になり安静、受傷後1週間は運動は避けます。スポーツ再開前には受診します。
- 大人の「慢性硬膜下血腫」への予防:長湯、飲酒、風邪薬は極力避けます。高齢者は、数ヶ月かけて頭の中に血液が徐々に溜まる場合もあるため、頭痛、嘔気、ふらつき、認知症などの出現や悪化時は受診します。
※1 小児頭部打撲に対する救急外来 (Pronto soccorso)は「小児神経外科」のある病院へ
≪ミラノ市内の対応病院≫
- Clinica de Marchi:Via della Commenda, 9, Milano
- Ospedale dei Bambini "Vittore Buzzi":Via Lodovico Castelvetro, 32, Milano
- Ospedale San Raffaele:Via Olgettina, 60, Milano
- Ospedale Niguarda:Via Ettore Majorana, Milano
※2 セカンドインパクト症候群:軽症の脳振盪の後、短期間で2度目の衝撃を受けることで、脳に重大な損傷が生じ、重篤な症状に陥ることをいいます。