破傷風予防ワクチン ー成人編ー

Q. 「破傷風予防ワクチン」は子供だけが受けるものですか?

A. 成人にも「10年おき」の再接種が勧められています

 最終接種が学童期の方は「ケガをした時」の接種が勧められています


「破傷風」は 世界中で発生する 現在でも致死率の高い細菌感染症です

  • 主に動物にかまれた時、錆びた釘が皮膚にささった時にできる傷口から、通常土の中や動物の糞便中に存在する「破傷風菌」が、体内に侵入することによって感染する急性感染症で、筋肉の痙攣を特徴とします。

  • 日本では1968年以降のワクチンの普及後に患者数は減少しましたが撲滅には至らず、イタリアや日本の様な先進国でも、毎年約50~100名前後の感染者の報告がされており、未だに死亡率の高い感染症の一つです。


接種間隔を守り、正しく接種すれば「破傷風ワクチン(破傷風トキソイド ※1)」の予防率は ほぼ100%

破傷風は、ヒトからヒトへ感染することはありませんが、自然免疫や集団免疫はなく、「定期的な予防接種による予防に勝る治療はない」と考えられています。

「定期予防接種」

    • 1期:4回(生後3ヶ月以降)+ 2期:1回(11〜12才)の計5回の接種

    • イタリア:青年期15~16才(ブースター接種 ※2)迄の計6回

    • 破傷風ワクチンの効果は、終生獲得できる免疫ではなく、最後に接種してから5〜10年で効力を失います。

  • 日本で接種された方は、小学校高学年(12才位)が最終接種になるため、その後10年間追加接種のない成人(22才前後)ではワクチンの効果は期待できなくなるということになります。その場合、以下の任意接種が必要です。

「任意接種」

    • 定期予防接種の非対象者は、沈降破傷風トキソイドワクチンの3回の接種。

    • 上記3回接種後、10年に1回の間隔でワクチン注射を受ければ、生涯免疫能が維持されます。

    • イタリア:3回の定期接種が確実に終了している場合、前回ワクチンの時期に関わらず、接種は1回のブースター接種のみ。

  • ケガをした際の「破傷風ワクチン」接種が励行されています
  • ‌再投与を受けていない人が破傷風感染リスクのある怪我をした場合、破傷風ワクチン接種を受けることが勧められています。

 傷を受けた後、すぐに受診が必要な症状(潜伏期:3~21日)

  • 傷を受け、十分な創傷部位の洗浄後(過酸化水素水(伊: Acqua ossigenata)が有効)、以下の症状がみられた場合、医療機関にすぐに受診します。

    • 食べ物をよくこぼす、飲み込みにくい

    • 舌がもつれる、口が開きにくい

    • 体がだるい、全身の違和感

    • 首・四肢のけいれん、こわばり

  • 早く症状を自覚し受診することによって、その後重篤化しても一時的なもので終わり、回復への可能性も高くなります。


 ご自分の最終の「破傷風ワクチン接種歴」を覚えておくことが大切です

  • 日本で出生され、定期接種が始まった1968年以前に生まれた方は予防接種を受けていないか、もしくは不十分な接種の可能性があります。また1975年〜1981年には副作用によりDPTワクチン接種が中断された時期もあります。‌

  • ‌定期接種が未接種、または接種歴が不明の場合は、積極的に「破傷風ワクチン」を接種することを検討しましょう。

  • ‌自分自身や家族が、いつ何回破傷風ワクチンを受けたのか、記録しておくことも大切です。


※1 破傷風トキソイド:破傷風菌が出す毒素を無毒化したワクチンで、破傷風の免疫を作り発症予防します。

※2 ブースター接種:既にワクチンの接種が済んでいる人に行うワクチンの追加接種。‌体内で一度作られた免疫機能が、再度抗原に接触することによって、さらに免疫機能が高まることをブースター効果(追加免疫効果)ともいいます。